2007年7月28日土曜日

綱渡りってよく言うけど、綱にも長さがある

 つまり、いつかは渡り終えなければならない。それが「いつ」なのかはわからないが・・・。
 イスラエルとパレスチナの人々が全滅するか、どちらかが壊滅する迄終わらないと思っていた問題の解決の糸口が、再度、見つかっている訳だが、和平合意を何度も経験してきた彼らにとって、今回の流れはどのうように写っているんだろう・・・

 ファタハのアッバス議長はパレスチナを国家として樹立する事が先ず先決で、それが成し得られたら、イスラエルに対する今迄の報復活動でも何でも続けられるんだから、今はおとなしくしとくのが得策だ、というステップを考えているように思う。なので好戦的な人達より手強い交渉相手なのかもしれない。

 周辺アラブ諸国も、それと同調していると考えれば納得がいく。必要なのはイスラエルを、地域的に封殺する事で団結したイメージが強い。

 ただ、この手の戦術は、一部の政策エリートが主導出来ている内は良いのだが、各国の大多数を占める非政権者の意識イメージが、必ずその後で共有され、(1)その共有から漏れた人々への弾圧や、(2)小さい圧力団体のせめぎ合いに移行するケースが多いように思う。

 アラブのイスラム組は勿論"(1)"の方向性を、「話し合い」で誘導したいと考えているだろうし、米国、イスラエルは今迄通り"(2)"の方向性を模索するだろう。
 そして今迄の和平合意や戦争のプロセスで、"(2)"の方向性を繰り返してきた中東は、小さな圧力団体が淘汰されていき、最終的なドクトリンを見出そうとしている。それは、和平交渉と戦争を繰り返した人々が、最後に寄り添うべき原理に落ち着きだした。

 現実的には、(1)と(2)のケースを形作る政策エリート達が、同じように恐れている、エジプトのイスラム同砲団やハマス等の、民族や国家の枠に囚われない地域コミュミティによる合議制が台等してきた事が顕著に物語っている。

 これを考えると、これらの勢力をこれ以上、「人数的にもドクトリン的にも封じ込んで、自分達の利益を確保する為には、和平交渉で、平和で安定した地域社会を再構築するしかない」という決断を下したかのような今回の動きは、些か後ろ向きな交渉のように思えるが、自然な成り行きにも感じる。

 一般庶民は、自分や家族や地域の隣人が安心して暮らせれば、基本、文句は無くなっていくものだと思う。仕事があって飯が食えて、旦那なり嫁なり子供や孫と安全で楽しく暮らせるんなら、地域の治安も回復するハズだ・・・。