スラップスティック小説、というのを始めて読んだのが、トレーシーシリーズだった。作者はウォーレン・マーフィ。この人の文章(というか翻訳者のウマさもあいまって)はリズム感がいいな。
なにか都会の匂いがします。とはいえ、シリーズの中でも第四作目「豚は太るか死ぬしかない」は、アメリカ探偵作家クラブ賞に輝いていたり、ミステリとしても十分読める内容になっている・・・のだが、このシリーズの読みどころは、やはり「会話の妙」、にある。
だいたい欧米の映画を日本語字幕でやると、何か別の得体の知れない作品になってしまう事が多いのだけれど、楽しきゃー、いいじゃん。と思っている人にしてみれば、最大の娯楽小説となるに違いない。
大富豪の酔っ払い女にシンパシーは全くないが、全てジョークにしないと気がすまないトレーシーに何故かシンパシーを感じる。トレーシーの恋人「チコ」もなんか可愛い。
タイトルが何故「愛は偉大」かは、シリーズを読んでくれればわかる筈。クスっときたら、OKです(オチじゃないですかそうですか)。
二日酔いのバラード
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