2008年5月27日火曜日

イランとイスラエルとシリアとアメリカ(の中で少しづつ関係の深い日本)

 カーター元米大統領が、25日、イスラエルが核保有している発言をした翌日、それこその舌の根の乾かぬ内に、国際原子力機関(IAEA)が出したイランの核開発に関する報告書を受けてか何かしらないが(この書き方にも意図があるかもしれないので気をつけてようっと)、安保理で4回目の制裁に向けた論議が始まる公算が大きくなったと日経が報じている。

 カーター元米大統領って世界同時進歩論者なのか?とも思ったが、イランへの経済制裁を即し戦争に持ち込む為の、イラン親派向けの不満蓄積増強剤的発言だったのかもしれない(いや、事前にその発言をする事自体がリークされていたので、翌日の発表が繰り上げられたのか、元々台本書いた奴が居たのかはわからん)。

 で、結果的にはハムラビ式に親イラン感情を煽って、親派感情を逆撫でし(イスラエルは核持ってるぜ、えっへっへー等イチビリ発言を断続的に繰り返し不安と不満を煽る → イスラエルが持ってて何でウチが持てないネン!=先に手を出す)→経済制裁(論議)→戦争というストーリーをスムーズに進めるという多段階構成である。という考え方の方が、WWI以降の「オーソドックスな世論調整方法」に準拠しているので優等生的。ただこれは「オーソドックスな方法」であって、実際の戦争に持ち込むとしたら多少使い古された手ではあると思う。しかし、イマイチ好きになれないのは、この手の「個人的発言」で、チクチク不満を蓄積させていくやり方だからかな。インケンでス。

 イランと戦争に一刻でも早く持ち込みたい人達が居るとすれば、実はこの策自体が、地域安定を図る上、または戦争迄の時間稼ぎとしては最も有効な進め方だという見方をして、賛成しないのではないか、と考える事も出来る。だから逆に、煽れば煽るほどイスラエルは(国際世論的に)窮地に立つ事になるのかもしれない。

 米欧イスラエルに対する不満がイランで爆発すれば、(イラン)軍隊が手を出すだろう、そうしたら、米イスラエル連合の、物量による「本物の制裁を加える」という正当防衛風作戦で、また戦争出来る、と本気で考えているとすると、所謂「テロ戦争」が長く引いている状況では、長引かせれば長引かせる程、そう考えている人達も不利になるってゆうか、国際世論も、女の子襲っちゃう様な若い兵隊の兄ちゃんも、厭世気分が高まるだけで、また、イランも中国も北朝鮮も、必死で「そんな手にのるかいっ!」って考える人が数多く出てきても不思議ではない。WWIIの時の日本の官僚みたいにノセられ易い人達ばかりでは無いようだ。

 ただ、イギリスや米国の一部の上下貴院を除き、欧州で中東の安定はそれほど重要と見なされていないんだろうか?イランを経済制裁してその後戦争にでもなって何万人もバクダンで死んだら、世界の世論が中東寄りに拍車をかけ、大イスラム共栄圏の結束に手を貸してるるだけになってしまう可能性の方が高いと思うんスけど。

 そして、「米国」や「英国」や「イラン」、「日本」ドコでもいいのですが、「国」という単位での物事の駆け引きがなくならない限り、戦争に勝っても負けても、人口の許す限りまた戦争は出来るので困ったモンであるネ。もう「石油利権(自国エネルギー捕獲作成)」という次元を遥かに超越した内容なのでは、と考える人が多くなってくるのは全く不思議ではない。
イスラエルは、イランとの有事に備え、イランと友好関係の強いシリアを、「ゴラン高原返還」というエサで切り崩そうとしている。

 戦略的に、敵の陣地や協力者を切り崩すのは、これまたオーソドックスな方法なので、大阪夏の陣で、徳川が大阪城の堀を埋めた後で料理した様に、環境整備を着々と進めている、そんな感じがしますネ。シリアはシリアで、そんな裏取引を声高に言われても困るがな!と思っているのかもしれない。

【追記】・・・等と書いたら、イランとハマスの指導者が会談し、イスラム共栄圏構想から離反したら制裁、なんて記事が日経に乗りました。よし、英米お得意のダブルスタンダード作戦実施だぜ。

 ところで、やはり米が沈黙しているのは、沈黙しているのでは無く、選挙シーズンでそれドコロじゃないから、だろね?

BGM : Earth Wind & Fire That's the Way of the World
※ Richard Teeバージョン(アルバム"Real Time"に収録)も、・・・イイ!
何故か目頭が熱くなるのら・・・